糖尿病
1. 概要
糖尿病とは、血液中の糖が増えた結果、全身の血管がダメージを受ける病気です。糖尿病は、その原因により1型と2型に分類されますが、そのほとんどは生活習慣の偏りを原因とする2型糖尿病です。一方、1型糖尿病の頻度は稀で、ウイルス感染や免疫システムの異常を原因とします。
2. 症状
糖尿病の症状の多くは持続する高血糖による血管のダメージにより説明できます。手足の神経の血管がダメージを受けると、手足の痺れが生じます。網膜の血管がダメージを受けると、糖尿病網膜症が生じ、運動をきっかけに眼底出血を起こしたり、最悪の場合には失明することもあります。腎臓の血管がダメージを受けると、老廃物を出すことが難しくなり腎機能が低下し、ひどければ透析が必要となります。また高血糖になると尿がたくさん作られ多尿となるため、口渇感、多飲といった症状が起こります。
さらに最近では歯周病と関係していることもわかってきました。糖尿病があると歯周病になりやすく、歯周病があると血糖値も悪化しやすいのです。
糖尿病における最大の問題は、初期に自覚症状がほとんど無いことです。ですから、健診で糖尿病の境界(疑い)と発見されても病院に行くのを躊躇した結果、その間に病状が進行してしまう方を外来で見ることが多いのです。
3. 検査・診断
血液検査で血糖値とHbA1c値を測定します。血糖値により「現在の」高血糖を、HbA1c値により「過去の(1~3か月程度の間の)」高血糖を調べます。食後血糖値が200 mg/dl以上かつHbA1c値が6.5%以上で糖尿病と診断されます。ただし、糖尿病は加齢と共に悪化することから、企業健診や特定健診(メタボ 検診)で引っかかるHbA1c値5.5%を超えた時点で生活習慣を変える努力をしていく必要があります。1型糖尿病については、抗体検査を行うこともあります。
4. 治療
糖尿病を治療するためには、生活習慣を見直すことが大切です。食事内容に加えて、生活パターンや運動習慣なども見直します。糖尿病のお薬はありますが、一時的に血糖値を下げるお薬です。「根本から治療する」ためには、生活習慣の見直しが不可欠です。長期にわたり高血糖が続くと、インスリンの作用不足が深刻化し、最終的に日常的なインスリンの皮下注射が必要となります。
5. まとめ
ただ「生活習慣を見直すと」言われても、何をし て良いのか分からず途方に暮れてしまうこともあるでしょう。生活習慣の見直しには時間がかかり、マラソンのような根気強さが必要です。1人きりで走り切ることは難しいでしょう。当院では、医師・看護師・管理栄養士が一丸となって、チームとして生活習慣の見直しをお手伝いいたします。