不安障害
1. 概要
不安障害にはパニック障害、広場恐怖症、社交恐怖症、全般性不安障害、特異的恐怖症などが含まれます。それぞれ不安を中核としていますが、不安を生じる状況や対象が異なります。不安が生じた結果、回避行動が生じ、生活が影響を受ける点が特徴です。
2. 症状
不安障害でよくみられる症状として不安発作(パニック発作)があります。不安発作とは、過呼吸や動悸、冷や汗とともに「このまま倒れてしまうかもしれない」「狂ってしまうかもしれない」といった恐怖感が出現し、10分~20分程度で収まります。症状が急に現れ、短時間で収まるため、不安発作と呼ばれています。また多くの場合、電車や飛行機の中、映画館や授業中の教室など、「すぐに移動したくてもできない状況」で起きやすいことが知られています。
不安発作は大きな苦痛をもたらすもので、一度経験した後は「また起きたらどうしよう」という新たな不安が生じます。これを予期不安と呼びます。この予期不安のせいで特定の状況を回避してしまい、生活に支障が出ます。
4. 治療
不安障害の治療として、お薬と認知行動療法の併用が有効です。お薬は過度な不安を感じにくくする役割を担います。お薬の作用も大切ですが、「薬を飲んでいるから大丈夫だろう」と思えることが大切です。さらに認知行動療法を行い、不安が起きやすい「考え方の癖」を少しずつ修正していきます。お薬を使わず、認知行動療法だけで治療を開始することもあります。また患者さんご自身で疾患について情報収集をして頂き、診察の中で話し合うことも大切です。
5. まとめ
不安障害の治療のポイントは「不安と向き合うこと」です。不安は、逃げれば逃げるほど大きくなるというジレンマを抱えています。何もないところから一人で立ち向かうことは困難ですから、お薬や医療者の助けを借りて立ち向かうことが大切です。