うつ病
1. 概要
うつ病とは、日常生活に支障が出るほどの強い気分の落ち込みが続く病気です。落ち込みは一日を通して強く、ほとんど毎日続くことが特徴です。何をしても楽し めず、疲れやすく、普段の家事や仕事ができなくなってしまいます。脳のセロトニン不足が影響していると考えられていますが、詳しい原因は分かっていません。30〜40代で発症することが多く、特に大きなストレスの後にうつ病を発症することがあります。
2. 症状
うつ病の症状として、気分の落ち込み、意欲の低下、考えに集中できない、疲れやすい、食事が減って体重が落ちる、眠れない、自分を責めてしまう、死ぬこと考えてしまう、などが挙げられます。また「お金がないからもうダメだ」「重篤な身体の病気にかかっている」「自分は罪深い存在だ」など、事実とは明らかに異なる妄想を訴えることもあります。これはうつ病に特徴的な妄想で、微小妄想と呼ばれます。周りの人が「そうではないよ、大丈夫だよ」と教えてあげても、安心させることは難しいでしょう。また自らの意思で身体を動かせない、昏迷という状態に陥ることもあります。この状態では身動きが取れず、食事や水分を摂ることもできなくなってしまいます。
3. 診断・検査
うつ病の症状を問診で確認します。症状が始まったのはいつか、生活にどのくらい影響しているかを丁寧に評価し、診断を考えます。抑うつ状態の程度を調べるため、うつ病事項評価尺度(CES-D)という心理検査を行うことがあります。甲状腺の異常で抑うつ状態となることもあるため、血液検査で甲状腺ホルモン値に異常がないかチェックすることも大切です。
4. 治療
うつ病は軽症、中等症、重症に分けられます。軽症ではお薬は必要ないことが多いでしょう。安心して休める環境を整えることで治癒を目指します。中等症では十分な休息に加え、お薬の治療を考慮します。重症の場合は十分な休息とお薬の治療が必要です。まずは少量のお薬から始め、効果と副作用を確認しながら治療します。また経済的な負担を抑えるため、うつ病の方には自立支援医療の申請について相談します。ご希望があれば自立支援医療の診断書を作成します。
5. まとめ
「うつ」という言葉はSNSや日常生活で耳にすることも増えてきました。一方でうつ病は生命に関わる病気でもあります。「何か変だな」と感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。またうつ病は再発しやすい病気でもあります。どのように治療を続けるか、主治医と相談しましょう。