発達障害
1. 概要
発達障害にはADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉症スペクトラム障害)が含まれます。どちらも子供の頃(18歳以前)から特性が出現し、そのせいで学業や生活に支障が出ることがポイントです。
2. 症状
ADHDの方の特性として不注意、多動、衝動性があげられます。これらは「注意の制御が苦手」という点が共通しています。つまり注意力そのものはあるけれども、うまく使えていない、ということです。この特性により頻繁な忘れ物、言われたことが思い出せない、思ったことをすぐ口にしてしまう、カッとなりやすい、などの困りごとに繋がります。
ASDの方の特性として対人交流の苦手さ、こだわり、感覚の過敏さなどがみられます。学校など集団行動が必要な場面で、話の流れがつかみにくい、他人の意図をうまく汲み取れない、臨機応変な対応ができない、などの困りごとに繋がります。これらの特性により集団の中で孤立してしまうこともあります。
3. 診断・検査
幼少期や学生時代の生活・困り事について詳しく伺い、診断を考えます。そのうえで現在の困り事を伺い、原因となっている特性や傾向について分析していきます。心理検査を行い、点数化することで診断の参考とすることがあります。
4. 治療
現在の困り事をテーマとして、解決方法を相談します。ご自身の苦手な部分をよく話し合い、トラブルになりにくい環境や仕組みを作ることが大切です。希望があれば、お薬の治療を行うこともあります。ADHDの方の場合、アトモキセチンやグアンファシンといったお薬を処方することがあります。(※当院ではメチルフェニデートの処方は行っていません)
5. まとめ
最近ではADHDやASDという言葉の普及に伴い、成人の方でも「自分は発達障害ではないだろうか」という悩みを抱える方が増えています。学生時代は周囲の人間関係に恵まれ、大きな問題にならなかったとしても、就労した後にADHDやASDの特性のためにうまく仕事がこなせず、周りとうまくいかなくなるという可能性は十分にありえます。つらい状況が長引くと、うつ病など他の病気に発展する可能性もあります。一人で悩まず、まずは医療機関に相談することが大切です。