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執筆者の写真Keishu Shimano

エビリファイ【お薬Q&A】

エビリファイについて解説するワニ

「よこはま北星こころとからだのクリニック」で心療内科・精神科を担当している、院長の島野です。今回はエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)について解説します。




1. どんな薬?


 エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)は


  • 統合失調症

  • 双極性障害の躁状態

  • うつ病・うつ状態

  • 小児期の自閉症


上記の疾患に処方されることがあります。脳内のドパミンの量を調整することで、幻覚や妄想を改善したり、気分の症状を改善します。後発医薬品(ジェネリック医薬品)があり、アリピプラゾールという名前で処方されることがあります。また1ヶ月に1回の注射を行うエビリファイの持効性注射製剤(LAI)もあり、主に統合失調症や躁状態の治療に使われます。


 

2. 剤形、用法、用量は?


 3mg錠、6mg錠、12mg錠、24mg錠があります。水が無くても内服ができるOD錠も選択することができます。割線は入っておらず、半分に割ることはできません。1日の維持量は24mgですが、最大量は30mgまでです。お薬を飲み始めて血中濃度が安定するまでに2週間かかるといわれており、ゆっくりと調整することが必要です。後発医薬品では液剤も選ぶことが可能で、用量を細かく調整したい時は液剤を選択します。


 

3. この薬が処方されたら統合失調症ということですか?


 結論から言えば、そうとは限りません。確かにエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)は統合失調症の治療を目的に開発されたお薬ですが、双極性障害やうつ病の方にも効果があることが分かっています。お薬をどのような目的で処方するのか、診断は何なのか、必ず主治医に確認するようにしましょう。


 

4. エビリファイの副作用は?


 頻度が高いものとしてアカシジアが挙げられます。アカシジアとは錐体外路症状(EPS)のひとつで、身体の不快感によりじっとしていられなくなる症状のことです。これはお薬によるドパミン受容体への作用が原因と言われています。その他によだれが口から出てしまう流涎や、身体の動きがぎこちなくなるジストニアなどの副作用が出ることもあります。

 このような副作用に対しては、原因となるお薬を減量することで対処することが一般的です。一時的に副作用止めのお薬を処方することもあります。


 

5. エビリファイで眠気が出る?


 エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)は比較的眠気が少ないお薬です。特に他の抗精神病薬と比較した場合、鎮静作用は目立たないとされています。しかし全く鎮静作用が無いわけではありません。副作用の出方は人それぞれですので、小さなことでも主治医に相談してみるとよいでしょう。


 

6. エビリファイは依存性がある?


 エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)は依存性や離脱症状の心配がないお薬です。長期間飲んでも「依存してやめられなくなる」ということはありませんので、安心してお使い頂けます。

 ただし、お薬を急に減量することで悪性症候群が起きることがあります。これは離脱症状とは違うメカニズムで起きると考えられていますが、詳しいことは分かっていません。悪性症候群の症状として意識障害、発熱、筋強剛、自律神経症状が挙げられます。放置すると死亡する可能性もある、非常に危険な状態です。用量を調整する際は必ず主治医に相談するようにしましょう。


 

7. まとめ


 エビリファイは保険適用の疾患も多く、多彩な症状に効果が見込めるお薬です。また剤形も豊富に選べることから、クリニックや病院でも処方されることがあります。主治医の診察を受けながら、安全にお薬を使えると良いですね。


 

監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)

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