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執筆者の写真Keishu Shimano

サイレース【お薬Q&A】


サイレースについて解説する精神科医のワニ

サイレース(一般名:フルニトラゼパム)について精神科医が解説します。



 

1. どんな薬?

 サイレース(一般名:フルニトラゼパム)はベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。不眠症や麻酔前の投薬に処方されることがあります。半減期は21.2時間で、中間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。催眠作用が強力である一方で依存性が高く、筋弛緩作用や呼吸抑制のリスクもあることから安易な使用は禁物です。過去には飲み物に混入させる方法で犯罪に使用されたこともあり、現在では水に溶けると青く染まるように設計されています。また米国では麻薬に指定されていて、国内への持ち込みは禁止されています。


 

2. 危ない薬ですか?

 催眠効果が強く、健忘やふらつきなどの副作用が出やすいお薬ですので、自己判断で薬の量を調節すると非常に危険です。サイレースを飲むのであれば、必ず医師に指示された用法・用量通りに飲むようにしましょう。


 

3. 剤形・用量は?

 1mg錠と2mg錠があります。どちらも割線が入っていて半分に割ることができます。1日の最大用量は成人では2mgですが、高齢の方(65歳以上)は1mgまでです。錠剤には青色1号という色素が配合されていて、水に溶けると青く染まるようにできています。



 

4. サイレースの良い使い方は?

 重度の不眠症で、様々な睡眠薬を試しても効かず、睡眠衛生指導をしっかり実施しても症状が改善しないような場合に、サイレースを最後の切り札として使用するのは良いと思います。繰り返しになりますが危険性の高いお薬ですので、不眠に対する最終手段のお薬、という認識が必要です。


 

5. サイレースを使う上での注意点は?

母乳移行性

 授乳中の方は内服を控えた方が良いでしょう。赤ちゃんが母乳を介してサイレースの成分を摂取すると、意識障害、黄疸、体重減少などの症状が起きる可能性があります。


健忘

 お薬を使う前後の記憶があやふやになることがあります。朝起きてみたら身に覚えのない買い物をしていた、友人に電話をかけて迷惑をかけてしまった、というようなことがありえます。お薬を飲んだらお布団へ直行し、他の行動はしないように心がけてください。


脱抑制

 ベンゾジアゼピン系睡眠薬全般に言えることですが、脳の機能を低下させることで眠気を作り出します。この状態はお酒をたくさん飲んで眠くなる状況(酩酊)によく似ています。感情のコントロールがうまくいかなくなることがあり、些細なことでひどく怒ってしまったり、衝動的な行動・言動が出現することがあります。お薬のせいで粗暴な行動が出てしまい警察のお世話になって精神科の病院に入院した、という方もよくいらっしゃいます。


依存性

 連日使用すると、耐性が生じ、効き目が落ちます。すると今までの量で眠れなくなり、サイレースの量が増え、また耐性が生じ、量が増え、というループに陥ります。結果的に大量のサイレースを連日摂取するようになり、サイレースを減らしたくても減らせないという依存症の状態に陥ります。そして急に薬を減量すると離脱症状が起きます。離脱症状は非常に多彩で、過呼吸、動悸、冷や汗などの自律神経症状や不穏、苛立ち、興奮などの精神症状が出現します。主治医の指示のもと、内服量をコントロールすることが重要です。


 

6. まとめ

 サイレースは効き目が強い反面、リスクも大きいお薬ですので、使用には細心の注意が必要です。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬全般に言えることですが、アルコールと睡眠薬を摂取すると作用も副作用も両方強まるため危険です。絶対にやめましょう。


 

監修:島野 桂周(精神科医、精神保健指定医)

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