デパス(一般名:エチゾラム)に関する疑問に精神科医がお答えします。
1. デパスってどんな薬?
デパス(一般名:エチゾラム)はベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬です。ベンゾジアゼピンの中では短時間型に分類され、すぐ効いてすぐ収まることが最大の特徴です。1984年に日本で発売され、現在はジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。
効き目が実感されやすく、抗不安薬のデメリットである持ち越しも少ないことから重宝されますが、一方で依存性や離脱症状の問題も指摘されています。一時期は乱用が問題となり、現在は処方日数に制限が設けられています。現在は30日までの処方が上限です。
2. デパスは危ない薬ですか?
デパスには依存性、耐性、離脱症状のリスクがあります。自己判断で使用すると非常に危険な薬です。依存状態になっていないか、どの程度まで使って良いかを主治医に確認しながら使うようにしましょう。
3. デパスの良い使い方は?
デパスの良い使い方は、年に数回だけ頓服として使用する、という使い方です。例えば「明日は年に数回の発表会で、今夜は絶対に眠れないと困る」という状況では、デパスは強い味方になってくれます。しかし「最近忙しいから毎日デパスを飲んで、しっかり寝よう!」という使い方では依存を招きます。
4. 依存状態になってしまったらどうした良い?
主治医に相談することが最優先です。決して自己判断で内服を調整しないでください。デパスの内服を自己調整してしまうと離脱症状が出現する可能性が高いです。その理由はデパスの半減期にあります。デパスの半減期は短く、3.5時間ほどです。この半減期の短さゆえに眠気が残りにくく、優秀なお薬である反面、依存が形成されやすくなっています。
参考:デパスの薬剤添付文書
依存状態になってしまった場合は、半減期の長い別のお薬を追加していきます。一方でデパスを徐々に減らしていきます。減量のペースは4週間に半分ずつ、というペースで慎重に減らすことが大切です。
5. デパスの離脱症状ってどんな症状?
手足の震え、動悸、発汗、過呼吸などの自律神経症状や、不安、焦燥、不眠などの精神症状が出ることがあります。症状は多彩で予測がつかず、重篤な場合は救急搬送されて入院が必要となることもあります。
6. まとめ
デパスは強力な抗不安薬・睡眠薬です。効果的な場面で適切に使うことができれば、安全で良いお薬です。処方を受けた際は主治医によく相談しながら使うようにしましょう。
監修:島野 桂周(精神科医、精神保健指定医)
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