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執筆者の写真Keishu Shimano

ルネスタ【お薬Q&A】


ルネスタについて解説する精神科医のワニ

 

1. どんな薬?

 ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)は非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬です。不眠症の不眠症状に処方されることがあります。日本では2012年に発売され、既にジェネリック医薬品があります。即効性のあるお薬で、効き目を実感しやすいことが大きな特徴です。寝付きをよくする効果と、途中で起きにくくする効果の両方があります。また、非ベンゾジアゼピン系のお薬の中では唯一、処方日数に制限が設けられていません

 


 

2. ルネスタの副作用は?

めまい、ふらつき、悪心

睡眠薬で一般的によくみられる副作用です。お薬を内服している間は運転は控えましょう。


苦味

ルネスタ特有の副作用として「苦味」があります。これはお薬の成分によるもので、口に入れた錠剤のコーティングが剥がれることで、苦味が出ます。ルネスタを内服する際は手元に水分を用意して、口に入れたらすぐに飲み込めるよう準備しておきましょう。また苦味はお薬の成分が唾液中に混ざって分泌されることで起きるとも言われています。結局のところ詳しいメカニズムはよく分かっていません。


脱抑制

脱抑制という言葉は馴染みがないかもしれません。お薬のせいで怒りっぽくなったり、普段はしないような行動(徘徊、脱衣など)が出現することです。これはお薬の作用で前頭葉の機能が低下することで起こると考えられます。お薬が代謝されて身体から無くなれば通常の状態に戻ります。お酒と一緒に内服すると危険性が高まりますので、アルコールとの併用は絶対に避けましょう。


 

3. ルネスタは依存性がありますか?

 ルネスタは依存性があります。6ヶ月~1年程度の使用で効き目が弱くなり、結果的に眠るために必要なお薬の量が増えていきます。また薬を急に中止することで振戦や動悸、イライラ感、ソワソワ感などの離脱症状が起きることがあります。


 

4. ルネスタは安全な薬ですか?

 比較的安全性が高い睡眠薬といえます。ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べ、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はより純粋に催眠作用が出るよう設計されています。筋弛緩作用や、呼吸抑制作用が少なくなっているため、比較的安全性は高い睡眠薬といえます。しかし依存性や耐性、離脱症状のリスクはありますので、薬の使い方については主治医と相談することが必要です。


 

5. ルネスタを急にやめるとどうなる?

 離脱症状が出ることがあります。離脱症状には不安、不眠、イライラ感などの精神症状や、悪心、手足の震え、動悸など身体症状があります。内服を再開することで離脱症状はおさまります。もしこのような離脱症状が出たら、すぐに主治医へ連絡しましょう。


 

6. ルネスタとマイスリーどちらが強いですか?

 ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)によく似たお薬として、マイスリー(一般名:ゾルピデム)があります。患者様からも実際によく訊かれる質問です。

 ルネスタもマイスリーも非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬です。従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べ、副作用が少ない、という点は共通しています。しかし効き目では多少の違いがあります。効果が出るまでにかかる時間はマイスリーの方が早いと言われています。効き目の長さは血中濃度の半減期で比較しますが、ルネスタの半減期は5.1時間、マイスリーの半減期は2.1時間です。ルネスタのほうが血中に長くとどまり、作用時間が長いといえます。

 以上をまとめると、寝つきが悪い方にはマイスリー、何度も目が覚めるという方にはルネスタのほうが向いているといえそうです。


 

監修:島野 桂周(精神科医、精神保健指定医)

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