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執筆者の写真Keishu Shimano

レボトミン【お薬Q&A】


レボトミンについて解説する精神科医のワニ
 

1. どんな薬?


 レボトミン(一般名:レボメプロマジン)は、抗精神病薬に分類されるお薬です。統合失調症やうつ病に対して処方されることがあります。ジェネリック医薬品(後発品)があります。ドパミン受容体を介して統合失調症の症状である幻覚、妄想や、うつ病の不安、緊張を和らげます。抗精神病薬の中でも定型抗精神病薬という種類に分類されます。統合失調症の新しいお薬の登場もあり、現在では鎮静作用を主な目的として、少な目の用量で処方されることが多いお薬です。


 

2. レボトミンは睡眠薬ですか?

 レボトミンは鎮静作用が強いことが大きな特徴です。そのため、睡眠薬として少なめの用量(5mg~25mg程度)で処方されることがあります。ただしレボトミンが保険適応になるのは統合失調症、躁病、うつ病における不安・緊張に限られますので、注意が必要です。


 

3. レボトミンは吐気止めですか?

 レボトミンをはじめとした抗精神病薬には、吐気を抑える作用(制吐作用)があります。これはドパミン受容体がブロックされ、吐気の信号が伝わらなくなることで起きます。ですから、吐気止めとして使うことも可能ですが、実際には鎮静やパーキンソニズムといった別の副作用も出てしまう危険性があるため、お勧めできません。


 

4. レボトミンとコントミンの違いは?

 レボトミンに似たお薬でコントミン(一般:クロルプロマジン)があります。どちらも統合失調症に処方されるお薬で、名前も似ています。名前が似ているということは、化合物の構造が似ていることと関係があります。どちらもアドレナリンα1受容体を阻害する作用を持ちますが、レボトミンの方がこの阻害作用が強く、そのおかげで鎮静作用も強く出ると考えられています。強い興奮がみられる場合にはレボトミンの方が効果が期待できるでしょう。


 

5. レボトミンの副作用は?

 過鎮静、体重増加、月経の異常、ジスキネジア、糖尿病、無顆粒球症などがあげられます。用量が増えるに従いこれらの副作用の出現頻度も高くなると考えられています。過鎮静では日中の眠気が問題になりやすく、だるさの原因となります。


 

6. レボトミンとヒルナミンの違いは?

 お薬を製造・販売する会社が違います。どちらもお薬の成分は同じ、レボメプロマジンです。レボトミンが準先発品で田辺三菱製薬が製造・販売しています。ヒルナミンは先発品で共和薬品工業が製造・販売しています。


 

7. レボトミンは手に入らない?

 レボトミン錠は2024年現在、薬剤を製造する工場での事故から、製造が一時停止となっており日本国内での流通が滞っています。お薬が手に入らない事態が予測されますので、レボトミンを内服中の方は早めに主治医に相談するようにしましょう。代替薬としてヒルナミンが考えられますが、多くの方がそちらを希望されることから、供給が追い付かず、ヒルナミンも品薄となる状況が予想されます。その他の代替薬としてコントミン、ウィンタミンが考えられますが、こちらも流通が不安定な部分があります。まずは主治医に相談してみてください。


 

監修: 島野 桂周(精神科医師、精神保健指定医)

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