自立支援医療制度のQ&A
- Keishu Shimano
- 4月18日
- 読了時間: 3分
よこはま北星こころとからだのクリニック、院長の島野です。
今回は自立支援医療制度について説明していきます。

1.自立支援の精神通院って何?
まずは制度の概要を説明します。自立支援医療制度とは、心身の障害を治療するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。実施主体は都道府県・指定都市です。
じつは自立支援医療には次の3種類があります。
育成医療:身体に障害のある児童の医療費を補助
更生医療:身体障碍者の自立と社会参加をすすめるための医療費を補助
精神通院医療:精神疾患の治療のために継続して通院が必要な方の医療費を補助
今回はこの中で3つ目の精神通院医療について解説していきます。
2.どんな病気が対象?
精神通院医療の自立支援医療は「継続的に」精神科への通院が必要な疾患を対象としています。つまり一時的な通院が見込まれる疾患は対象外です。「継続的に」通院が必要な精神疾患の例としては統合失調症、うつ病、双極性感情障害、不安障害、依存症、認知症、てんかんなどが挙げられます。一方、一時的な通院とされることが多い精神疾患は適応障害です。診断書の病名が適応障害となる場合には自立支援医療は申請できないということになります。
3.費用はどこまで補助されるの?
自立支援医療を利用すると、医療費の自己負担が1割負担で済みます。本来であれば3割の自己負担が1割になるので、支払金額が1/3に抑えらます。医療費には診察代、処方箋代、薬代など通院にかかる費用や、訪問看護や訪問診療にかかる費用も含まれます。さらに月額上限額が設けられており、世帯の収入に応じて月額の負担上限が決められています。そのため費用を気にせず、安心して治療を受けることができます。
4.今は症状がなくて落ち着いているが、対象になる?
現在は症状が無かったとしても自立支援医療の対象となります。精神疾患では、症状がない状態を維持し、再発を予防するために通院が必要となることが多いからです。
5.治療を始めてだいぶ時間が経っているが、今からでも申請できる?
申請できます。たとえ治療を始めたその日でも、もしくは数年が経過していても、自立支援医療の対象となる病名がついていれば問題ありません。
診断書はすぐ書いてもらえる?
主治医の判断によりますが、初診であっても自立支援医療の診断書を作成することは可能です。診断書がすぐほしいという方は、主治医に相談してみましょう。白紙の診断書は市役所などでもらえます。クリニックによっては診断書を持っていかなくても、作成してくれるところもあります。当院では各自治体の書式をパソコン上に用意してありますので、その場ですぐ作成できます。
自立支援医療でどのくらいお得になる?
月1回通院、薬が何も処方されていない場合で計算してみます。
<自立支援がない場合>
診察1回あたりの費用は、3910円の3割負担で1170円。
1年で12回通院すると3910円×12=14040円/年
<自立支援医療ありの場合>
診断書代金:2500円/年
通院費用:391円×12=4692円
これらを合計すると、負担金額は7192円/年
比べると、自立支援医療を利用した方が1年でおよそ7000円ほどお得です。お薬を処方されている場合にはお薬の負担金額も安くなりますので、1年で1万円以上はお得になる可能性があります。継続的な通院が必要な方はぜひ利用すべきでしょう。
まとめ
自立支援医療は各自治体によって手続きや体制が少しずつ異なります。制度の利用を考えたときは、お住まいの地域の市役所のホームページを確認してみましょう。
監修:島野 桂周(よこはま北星こころとからだのクリニック・院長)
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