統合失調症

1. 概要
統合失調症は100人に1人が発症する身近な病気です。行動を実況したり、命令するような内容の幻聴や、誰かに狙われている、追いかけられているという内容の妄想が出現します。若年期~中年期で発症することが多く、治療が遅れるほど症状も重症化しやすいことが知られています。
2. 症状
症状は陽性症状と陰性症状に分けられます。陽性症状には、幻聴をはじめとした「幻覚」や、被害妄想や誇大妄想などの「妄想」が含まれます。幻聴には「今トイレに入ったぞ」「食事をしている」といった行動を実況するもの、「〇〇しろ」といった命令するものが典型的です。他に、鳴っていないはずの音が聴こえる、よく分からない金属音や衝撃音が聴こえる、という訴えもきかれます。妄想は「嫌がらせをされている」「監視されている」「陥れようとしている」といった被害妄想が典型的です。このような陽性症状があると、混乱し、気分は落ち込み、生活しづらくなってしまいます。
陰性症状には意欲低下、感情鈍麻、感情の平板化などが挙げられます。これらは周囲の人とのコミュニケーションや、セルフケアの支障となります。さらに病状が悪化すると行動や思考が停止してしまう、緊張病症状が出現することもあります。
3. 診断・検査
幻覚や妄想などの症状が、「いつからあるか」を確認します。症状が1ヶ月以上、ほとんどいつも、明らかに持続していることが重要です。また症状がどのくらい苦痛をもたらしているか、生活の支障となっているか、という点も参考にします。残念ながら統合失調症を診断するための生理学的な検査は未だに発見されていないのが現状です。身体の病気で統合失調症のような症状が生じることもあるため、採血や画像検査で定期的に評価することが大切です。
4. 治療
治療としては精神療法、薬物療法、認知 行動療法が挙げられます。症状について傾聴し、対処法を相談します。お薬は、幻覚や妄想を抑えるために処方することがあります
5. まとめ
統合失調症は身近な疾患ですが、早期発見と的確な治療が大切な病気です。お薬の治療がなければ症状は徐々に悪化します。経過観 察での改善は残念ながら見込めません。症状が悪化した場合は精神科病院での入院治療が必要になることもあります。