ストレスチェックについて解説
- Keishu Shimano
- 4月1日
- 読了時間: 4分
よこはま北星こころとからだのクリニック、院長の島野です。
今回は最近耳にすることが増えてきた「ストレスチェック」について解説します。

1. ストレスチェックとは
ストレスチェック制度とは、定期的に労働者のストレス状況について検査を行い、その結果を本人に通知することでメンタル不調のリスク低減を目的とする制度です。近年、就労環境におけるメンタルヘルスの重要性が認識されるようになり、2015年12月より労働者数が50人以上の事業場では毎年のストレスチェック実施が義務化されました。現在は50人未満の事業場では義務ではなく努力義務となっていますが、今後は労働者数に関わらずすべての事業場で義務化される見通しです。(2025年3月現在、法案が国会にて審議中)
なお、事業場がストレスチェックの報告を行わなかった場合、労働安全衛生法に基づき50万円以下の罰金が課されます。
2.ストレスチェックの流れは?
ストレスチェックを行うために使われる書式は質問票、ストレスチェックシートなどと呼ばれます。質問票は一定の要件を満たす必要がありますが、各事業場の就労環境に合わせて質問内容を自由に設定できます。ストレスチェックの流れは以下の通りです。
①回答者は各質問を読み、最も当てはまる数字に丸を付けていきます。アンケートに似た形式ですね。
②全て書き終えたら封書に入れて中身が見えないようにして提出します。提出先は自分が働いている会社ではなく、ストレスチェックを実施している団体(実施者)です。
③ストレスチェックの結果から「高ストレス者」を選定し、医師による面接指導を勧奨することとなりますが、「高ストレス者」の選定基準は会社側に委ねられています。予め会社が決めた選定基準をもとに、実施者が高ストレス者を選定します。
④ストレスチェックの結果は実施者から本人に直接通知されます。結果を会社側にも共有するかどうか確認を求められますので、自由に選択できます。結果を共有しないからといって、会社側が不利益な扱いをすることは法で禁じられていますので、安心してください。高ストレス者の場合には相談窓口も併せて紹介されますので、相談を検討してみましょう。
3.ストレスチェックの内容
厚生労働省が公開している質問票を見てみましょう。
「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」
ストレスチェックは大きく分けて3つのパートから成ります。
仕事のストレス要因
心身のストレス反応
周囲のサポート
それぞれのパートごとに複数の質問項目があります。項目ごとに回答を選び、その回答を点数化することで採点します。何点以上が高ストレス者に該当するかは、事業場の基準によります。国の想定している基準としてはストレスチェックを受けた人の10%が「高ストレス者」となるように基準を定めるべきとしています。
3つあるパートのうち最も重視すべきなのは「心身のストレス反応」です。ストレスの結果として現れる健康被害がこのパートに反映されるため、最も注目すべきパートといえます。この部分の点数が高い場合にはうつ病や適応障害などの可能性があります。ためらわず、心療内科や精神科を受診しましょう。
4.結果が会社に知られてしまうことはある?
答えはNoです。ストレスチェックの結果は、実施した医師や実施者からご本人に直接通知しなくてはならないことになっていますので、ストレスチェックの内容が会社に知られてしまう可能性はありません。ただしご本人の同意がある場合には職場へ結果が通知されます。ストレスチェックの結果を会社にもシェアするかどうか、よく考えておくことが必要です。またストレスチェックの結果や、ストレスチェック実施の有無、医師の面接指導を受けたかどうかで会社が不利益な扱いをすることは法で禁じられています。
5.まとめ
就労環境におけるメンタルヘルスの不調は職場全体の問題です。解決するには上司、同僚、家族など多くの人の協力が必要です。医療機関を受診する際には「仕事のことを病院で相談していいのだろうか」「話しても分かってもらえるだろうか」「邪険にされないかな」など様々な不安が浮かぶと思います。当院を含め、クリニックは患者さんの味方ですから、怖がらずにまずは相談してみてください。
監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)
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