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パニック発作の対処法10選まとめて紹介

執筆者の写真: Keishu ShimanoKeishu Shimano

よこはま北星こころとからだのクリニック、院長の島野です。パニック障害や社交不安症、うつ病などでみられるパニック発作(不安発作)の対処法を紹介します。




重要なことは、「いかにパニック発作から注意を逸らすか」という点です。薬以外の方法も紹介していますので是非参考にしてみてください。


ヨガをしている女性

 

1. 発作は無害であることを思い出す


 パニック発作の最中は不安に圧倒され、「このまま死んだらどうしよう」「気が狂ってしまうのではないか」という恐怖に捉われます。これを破局的認知と呼びます。パニック発作の最中には「歴史上、パニック発作で死んだり気が狂ってしまった人はいない」という正しい知識を強く意識することで破局的認知を修正し、不安を和らげることができます。

 

2. 良い香りを嗅ぐ

 2019年の小規模研究で、ラベンダーオイルの香りを嗅ぐと血圧が下がり不安の度合いが減る、という結果が示されました。ラベンダーオイルでなくとも、好きな香りを持ち歩き、発作が起きそうだと感じたら嗅ぐようにすることで、パニック発作を遠ざけることができるかもしれません。


 

3. 深呼吸する

 パニック発作の症状は「自律神経の嵐」とも言えるほど、自律神経の興奮が深く関係しています。動悸、冷や汗、過呼吸、めまい、吐き気、手の痺れなどはすべて自律神経の働きが関係しています。深呼吸によって自律神経の興奮を鎮めることができます。

 

4. 刺激の少ない場所に移動する

 騒音、暑さ、寒さ、明るすぎる照明などは不安を高める要素になり得ます。今いるその場所で最も安らげそうな場所を見つけて、可能であればそこに移動するようにしましょう。

 

5. 1つの刺激に集中する

 意識の焦点をパニック発作から逸らすことで、発作を遠ざける方法です。集中する対象は何でもよく、目の前のつり革や椅子の脚部など、目に映る物に集中し、「あぁ良い色だな」とか「変な形だな」とか何かしら感想を心の中で述べると良いでしょう。次の5-4-3-2-1法でも述べますが、聴こえてくる音に集中することも良い方法でしょう。

 

6. 「5-4-3-2-1法」を試す

 パニック発作の最中は、不安に圧倒されるあまり目の前の状況ではなくパニック発作そのものに意識が向いてしまっています。「5-4-3-2-1法」は身体感覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を頼りに意識を目の前の状況に向け、パニック発作を遠ざける方法です。以下の手順を連続して丁寧に行いましょう。


  • 5つの物を視界の中で探す。(PCや机、椅子など)

  • 4つの音に意識を向けて、それがどこから鳴っている音なのか想像します(足音や咳払い、電車の音など)

  • 3つの物体に触れ、その手触りや材質に意識を向けます(つり革や金属のポール、自分の服など)

  • 2つの臭いを嗅ぎます(その空間の香りやハンカチの柔軟剤の香りなど)

  • 1つの味を味わいます(キャンディやペットボトル飲料など)


 

7. 好きな言葉を繰り返し言う

 自分が好きな言葉を繰り返し唱えることで安心感をもたらす方法です。「大丈夫」とか「落ち着く」とか「ちくわは美味しい」など、安心感をもたらす言葉やフレーズをチョイスしましょう。

 

8. ストレッチや歩行をする

  身体を動かすことは必然的に身体の感覚入力が増えるため、意識を不安から逸らすことができます。もし状況的に可能であれば、軽いエクササイズを行うことが良いでしょう。

 

9. 誰かに話しかける

 人と話すことも極めて効果的です。話しかけることで、相手の話を聞いてそれに応答する必要があり、話を続けるかぎり注意をパニック発作から逸らすことができます。

 

10. 頓服薬を使用する

 パニック発作への対処として最も手軽で基本的な方法かもしれません。ロラゼパム(ワイパックス®)やアルプラゾラム(コンスタン®)などが一般的に用いられます。いつ起きても大丈夫なように、財布やカバンの中に何錠か忍ばせておきましょう。

 

★まとめ

 今回はパニック発作の対処方法を紹介しました。これらを実践することでパニック発作や予期不安の頻度が少しでも減ると良いですね。このような工夫を医師と相談しながらオリジナルに改変して行うことも大変有効です。ぜひ主治医と相談しながら上手な対処法を身に付けていきましょう。





監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)

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