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執筆者の写真Keishu Shimano

選定療養制度について

「よこはま北星こころとからだのクリニック」で心療内科・精神科を担当している、院長の島野です。今回は2024年10月に実施が始まった「長期収載品の選定療養」について解説します。

 
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1. どういうルール?


 端的にいえば、後発医薬品の利用を促すためのルールです。2024年10月より、すでに後発医薬品のあるお薬で、先発医薬品の処方を希望した場合に特別料金が発生します。これは通常の一部負担金(1割~3割負担)に上乗せされるので、今まで先発品を希望して使用していた患者さんにとっては、負担増となります。この制度が導入された背景に、これまで患者の希望により先発医薬品が処方されるケースが多かった、という事実があります。厚生労働省としては今回の制度により医療費を抑制し国民皆保険制度を維持する、という目的があります。


 

2. 特別料金の計算方法は?


 特別料金は、先発医薬品と後発医薬品の価格差の1/4となります。実際にはこの価格差に対し消費税が上乗せされます。

 例えば先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品が1錠60円の場合、差額40円の1/4である10円が特別料金で、消費税の10%が上乗せとなります。後発医薬品がいくつか存在する場合は、薬価が一番高いものとの価格差で計算されます


 

3. 特別料金が発生しないことはある?


 医師が医療上の必要性があると認めて先発品を処方した場合には、特別料金は発生しません。医療上の必要性がある場合とは


  1. 効果・効能に差異がある

  2. 治療効果に差異がある

  3. 治療ガイドラインにおいて後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている

  4. 剤形の違いによる理由(ただし好みは除く)


以上の4つです。錠剤、液剤、粉薬など剤形の好みは「医療上の必要性がある」と言えない点にも注意が必要です。


また流通の問題等で、薬局に後発医薬品の在庫がなく、止むを得ず先発医薬品での調剤となった場合も特別料金は発生しません。


 

4. まとめ


 国としては医療費の抑制を目指しています。今回の制度導入に伴い医療機関での後発医薬品処方が増えることが予想されます。お薬にこだわりがある場合には、薬局で先発品と後発品の金額差をきいて考える、というのも一つの選択肢です。


 

監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)


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