大人のADHD
「感情のコントロールが苦手」
当院では18歳以上の方を対象に発達障害の診断・治療を行っております。
大人のADHDで見られやすい「衝動買い・浪費」について解説します
なぜ感情のコントロールが苦手?
大人のADHDでは、感情のコントロールの苦手さが、単なる性格の問題ではなく、衝動性や注意の切り替えのしづらさと関係していることがあります。
ADHDの方では、不安、いら立ち、落ち込みといった気持ちが強く動いたときに、その変化に気づいて落ち着くまでの時間をとることが難しく、気分がそのまま言動に出やすいことがあります。
また、気になることがあると意識がそこに強く向きやすく、嫌な出来事や相手の言葉を引きずりやすいこともあります。
さらに、疲労やストレスがたまっていると、もともとの特性が目立ちやすくなり、普段なら受け流せることでも強く反応してしまうことがあります。
そのため、感情のコントロールの難しさは、気持ちの弱さではなく、感情が動いたときにブレーキをかけにくい特性として理解することが大切です。
感情のコントロールが難しくなる場面
感情のコントロールの難しさは、疲れているとき、余裕がないとき、予定どおりに進まないときに強く出やすくなります。
たとえば、仕事や家事で疲れがたまっているとき、急な予定変更があったとき、思いどおりに物事が進まないときには、いら立ちや不安が強くなりやすくなります。
また、注意がそれやすい方では、会話の中で相手の言葉の一部分だけが強く気になったり、否定されたように感じたりして、その場で気持ちが大きく動いてしまうことがあります。
さらに、忙しさやストレスが重なると、自分の気持ちを整理する余裕がなくなり、言いすぎる、急に落ち込む、その場から離れたくなるといった反応が出やすくなります。
こうした場面では、感情そのものよりも、疲労や環境の負荷が引き金になっていることも少なくありません。
感情をコントロールするための対策例
① 気持ちが動いたときの“きっかけ”を言葉にする
感情が強く動いたときは、その場で自分に「今、何が引っかかったんだろう」と問いかけてみます。たとえば、「急に予定が変わった」「否定されたように感じた」「疲れていて余裕がなかった」など、きっかけを短く言葉にするだけでも、気持ちに飲み込まれにくくなることがあります。感情そのものをすぐ消そうとするより、まず何に反応したのかを整理することが大切です。
② その場で答えを出そうとしない
いら立ちや不安が強いときは、その場で言い返す、判断する、結論を出すことがかえって悪循環につながりやすくなります。そういうときは、「今は返事を急がない」「少し時間をおいてから考える」と決めておく方法が役立ちます。会話なら「少し整理してから返します」と伝える、メッセージならすぐ送らず下書きにしておくなど、反応を少し後ろにずらすだけでも、言いすぎや後悔を減らしやすくなります。
③ 疲れているときの“崩れやすさ”を前提にする
感情のコントロールは、その人の性格だけでなく、疲労やストレスの影響を強く受けます。疲れている日、忙しい日、睡眠不足の日は、普段よりいら立ちやすくなることを前提にして、予定を詰め込みすぎない、刺激の多い場面を減らす、一人で落ち着ける時間を作るなどの調整が大切です。「今日は崩れやすい日かもしれない」と先に意識しておくだけでも、感情に振り回されにくくなることがあります。
受診を考えたほうが良いケース
気持ちの波やいら立ちは誰にでもありますが、その反応が強くて自分でも困っている場合や、生活や人間関係に繰り返し影響が出ている場合には、一度相談を考えてよい状態です。
たとえば、些細なことで強く怒ってしまう、あとから言いすぎたと後悔することが多い、気分が大きく落ち込みやすい、感情が高ぶると仕事や家事が手につかなくなる、といったことが続く場合です。
また、感情のコントロールの難しさだけでなく、先延ばし、忘れ物、衝動買い、過食、会話で言いすぎてしまうなど、ほかにもADHDの特性に関連する困りごとが重なっている場合には、背景に発達特性が関わっていることがあります。
さらに、疲労、不眠、不安、抑うつ、強いストレスがあると、感情の揺れがより強く出やすくなります。
「性格だから仕方ない」と一人で抱え込まず、同じことで何度も困っているときや、自分を責める気持ちが強くなっているときは、背景を整理して自分に合った対策を考えるためにも、受診が役立つことがあります。