大人のASD
「曖昧な指示が苦手」
当院では18歳以上の方を対象に発達障害の診断・治療を行っております。
大人のASDで見られやすい「曖昧な指示が苦手」について解説します
なぜ「曖昧な指示が苦手」?
ASD(自閉スペクトラム症)の方は、物事を正確に理解しようとする傾向があります。
そのため、
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「適当にやっておいて」
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「いい感じにまとめて」
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「空気を読んで対応して」
といった曖昧な表現に対して、
「具体的に何をすればよいのだろう?」
「どこまでやればよいのだろう?」
と迷ってしまうことがあります。
また、ASDの方は言葉を額面どおりに受け取る傾向があり、相手の意図や文脈、暗黙のルールを推測することが苦手な場合があります。
医学的には、「相手が何を考えているかを推測する機能(社会的認知)」や、「複数の情報を統合して全体像を把握する機能」の特徴が関係していると考えられています。
決して能力が低いわけではなく、「具体的な情報の方が理解しやすい脳の特性」と考えると分かりやすいでしょう。
困りごとが起きやすい状況
具体例①
上司から「資料を修正しておいて」
と言われたものの、
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どこを修正するのか
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どの程度修正するのか
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いつまでに必要なのか
が分からず困ってしまった。自分なりに解釈して進めたところ、
上司から「そういう意味じゃなかった」
と言われてしまった。
具体例②
パートナーから
「時間がある時に洗濯物お願いね」
と言われたが、
「今日中で良いのか」
「今すぐやるべきなのか」
が分からず、しばらく経ってからパートナーに「まだやっていないの?」と言われてしまった。
具体例③
友人から
「また今度ご飯でも行こう」
と言われた際に、社交辞令ではなく具体的な約束と受け取ってしまい、相手の予定を聞いたところおかしな顔をされてしまった。
対策例
① 分からないことを確認する習慣をつける
「具体的にはどういう意味ですか?」
「期限はいつですか?」
と確認することは悪いことではありません。
曖昧なまま進めるよりも、早い段階で確認した方が結果的にトラブルを減らせます。
② 受けた指示を言語化して確認する
例えば、
「資料を修正しておいて」
と言われた場合、
「○ページの誤字修正とレイアウト変更を、金曜日までに行うという理解で合っていますか?」
と確認する方法が有効です。
③ メモやチャットを活用する
口頭のみの指示では認識のずれが生じやすいため、
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メール
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チャット
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メモ
などで記録を残す習慣が役立ちます。
④ 自分の苦手さを理解する
ASDの方の中には、
「これくらい分かって当然だ」
「何度も聞いたら迷惑ではないか」
と考えてしまう方もいます。
しかし、曖昧な指示が苦手なのは性格の問題ではなく特性の一つです。
苦手さを理解し、自分に合った工夫を取り入れることが大切です。
受診を考えたほうが良いケース
仕事や家庭、人間関係の中で
「指示の意味を取り違えてしまう」
「相手の意図が分からず何度も確認が必要になる」
「悪気はないのに『話が通じない』『融通が利かない』と言われる」
といった経験が繰り返しあり、そのために強いストレスや自己否定感を抱いている場合は、一度専門医への相談を検討してもよいかもしれません。
特に、子どもの頃から「言われたことをそのまま受け取る」「暗黙のルールが分からない」「曖昧な指示が苦手」といった傾向が続いており、就職後や昇進後など対人コミュニケーションが増える環境で困りごとが目立つようになった場合には、ASDの特性が関係している可能性があります。
また、その結果として適応障害やうつ病、不安障害などを繰り返している場合には、背景にある認知特性を理解し、自分に合った対処法を身につけることが症状の改善につながることがあります。