よこはま北星こころとからだのクリニック、院長の島野です。
今回はパニック発作(不安発作)について解説します。

1. パニック発作の症状
パニック発作はパニック障害や社交不安症、うつ病など様々な疾患でみられる発作です。急に始まる動悸や過呼吸、冷や汗、めまい、吐き気、息切れなどの身体症状や、「このまま死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」という強い恐怖を伴う点が特徴的です。このような一連の症状が急に出現し、数分~10分ほどで徐々に収まります。
このようなパニック発作は、当事者にとって非常に恐ろしい体験です。それ故に「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安に繋がります。パニック発作は電車や映画館、飛行機、エレベーターなど、出たい時に出られない状況で起きやすいことが知られています。これを「精神的または身体的拘束を嫌う」と表現します。また、パニック発作は睡眠中にも起こることが知られています。
パニック発作は脳の偏桃体と呼ばれる部位が過剰に活動することで起きると考えられています。そのため、扁桃体の活動を抑えるような治療が必要です。治療には薬物療法と認知行動療法があります。
2. パニック発作の対処法は?
パニック発作は10分~20分ほどで元に戻ります。安全が確保できる場所に移動し、座って休むと良いでしょう。もし持っていれば頓服薬を服用しましょう。頓服薬としてはロラゼパムやアルプラゾラムなどが一般的です。以前は「袋を口に当てて呼吸すると良い」と言われていましたが、これは間違いです。高濃度の二酸化炭素吸入でパニック発作が惹起されることが分かっていますので、逆効果になり得ます。発作が起きてしまったら、静かで安全な場所で薬を飲んで休む、ということを覚えておきましょう。発作への対処で有用なものを列挙します。
より詳しい対処法は別の記事で紹介しています。
3. 生活習慣で気を付けることは?
パニック発作を起こさないために、以下のようなポイントに気を付けて生活しましょう。
・寝不足、飲酒、過度なストレスを避ける。
・パニック発作を止める頓服薬を常に持ち歩きましょう。「発作が起きそう」と思ったときに頓服薬が手元にあれば、それ自体が安心感に繋がり発作を起こさずに済んだ、という例も多くあります。
・コーヒーや喫煙はほどほどにしましょう。カフェインやニコチンなどの不安を起こしやすい物質を避けて生活することも大切です。
・毎日飲むお薬が処方されている場合は飲み忘れに気を付けましょう。お薬の血中濃度が不安定になると、不必要な発作が起きてしまうかもしれません。
4.まとめ
パニック発作は生活に与える影響が大きいもの。正しい知識や対処法を身に付け、上手に対応できるようになると良いですね。お薬外の対処法帆を磨くこともとても大切です。関連ページも参考にしてみてください。
監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)
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