1. どんな薬?
レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)は、うつ病や不安障害の方に処方されることがあります。SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ薬で、効果と副作用のバランスが優れていることが特徴です。
2. 用量は?ジェネリックはある?
・10mg錠、20mg錠があります。割線が入っていて、半分に割ることができます。
・1日最大用量は20mgです。
・ジェネリックのお薬があります。名称はエスシタロプラムです。薬価は10mgで72.20円です。
3. レクサプロの効き目は?
気分の落ち込みや過度な不安を和らげます。脳内ではさまざまな物質が神経伝達物質として働いています。セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどが代表格です。なかでもセロトニンは不安や気分の落ち込みに関係していると考えられています。このセロトニンが不足することでうつ病が起きると考えられており、物アミン仮説と呼ばれます。レクサプロは脳内のセロトニン量を増やすことでうつ病や不安障害に効果を発揮すると考えられています。
4. レクサプロの副作用は?
・セロトニンは脳内だけではなく、大腸をはじめとした消化管でも大切な働きを担っています。レクサプロの内服によって消化管の動きが阻害され、便秘や吐き気などの副作用が出ることがあります。
・賦活症候群(activate syndrome)といって、抗うつ薬の内服により不安や焦燥感、苛立ちなどの症状が出現することがあります。特に24歳以下の方で出現頻度が高くなるため、初めて内服する際には注意が必要です。どうしてもお薬が必要な場合はレクサプロ5 mgなど、少なめの用量から開始するなど、慎重に投与することが大切です。
・相談しにくい副作用として性機能障害(ED)があります。これはアドレナリンα1受容体の働きが関わっていると言われています。レクサプロに限らず、抗うつ薬の内服で射精障害や勃起障害を引き起こすことがあります。
・レクサプロはQT延長という副作用が起きる可能性が指摘されています。不整脈の治療を受けている方は、内服について慎重な判断が必要です。
・その他によく見られる副作用として傾眠(22.6%)、悪心(20.7%)、頭痛、めまい、口渇などがあげられます。
・抗うつ薬の副作用は飲み始めの1〜2週間がもっとも強く出ると言われています。2週間を過ぎてくるとだんだんと副作用に慣れ、気にならなくなってきます。一方で効き目は2〜4週間で出てくることが多いです。そのため、最初の副作用を乗り越えられるかが、飲み続けていけるかの別れ目となります。
5. レクサプロの注意点は?
・効果が出るのに2週間〜4週間ほどかかります。
・内服を急にやめると離脱症状が起きることがあります。
・お薬の量を変更する際は自己判断せず、必ず主治医に相談しましょう。
6. レクサプロは依存症になる?
レクサプロには常習性や依存性はありません。ただし急に中断すると離脱症状が出ることがあります。離脱症状は手足の震え、イライラ感、ソワソワ感、動悸など、色々な症状が考えられます。繰り返しになりますが、お薬の量は主治医に相談してから減らすようにしましょう。
監修: 島野 桂周(精神科医師、精神保健指定医)
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