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執筆者の写真Keishu Shimano

インチュニブ【お薬Q&A】

インチュニブについて解説するワニ

「よこはま北星こころとからだのクリニック」で心療内科・精神科を担当している、院長の島野です。今回はインチュニブ(一般名:グアンファシン)について解説します。


 

1. どんな薬?


 インチュニブ(一般名:グアンファシン)はADHD治療薬です。α2Aアドレナリン受容体に結合することでADHDの症状である衝動性や注意不足を改善します。日常生活での苛立ちのコントロールや注意のコントロールが向上し、集中力が上がる、ケアレスミスが減るなどの効果が期待できます。発売されて間もないため、2024年11月現在、後発医薬品(ジェネリック医薬品)はありません。


 

2. 剤形・用法・用量は?


 1mg錠と3mg錠があります。どちらも割線は入っておらず、半分に割ることはできません。1日の最大量は6mgです。ただし18歳未満の方の場合は、体重に応じて最大量が決められています。


 

3. インチュニブの眠気は強い?


 インチュニブ(一般名:グアンファシン)には交感神経をリラックスさせる作用があり、眠気を生じることがあります。インチュニブの添付文書では眠気の副作用は49.8%の方に生じると記載されていて、眠気が生じやすい薬といえます。



 

4. インチュニブを飲むと穏やかになる?


 鎮静作用があるため、苛立ちや衝動性が改善し、周りの人に「穏やかになったね」と言われることは有り得ます。ただし飲むのをやめると、元に戻ってしまいます。ADHDの方で、アンガーコントロールや様々な工夫をしてもうまくいかず、衝動的な言動や行動で困っているという方には心強いお薬といえます。


 

5. 依存性はありますか?


 インチュニブは長期的に内服することを前提に作られたお薬です。依存性はありませんので、安心してお使いいただけます。


 

6. インチュニブを過量内服するとどうなる?


 薬剤添付文書では低血圧、徐脈、嗜眠、呼吸抑制等が起こると記載されています。交感神経をリラックスさせるお薬ですので、血圧や心拍数に影響が出ることは間違いないと思われます。万が一過量内服してしまった際は、すぐに主治医に相談をしたり、意識状態が悪化するようであれば救急車を呼ぶなど適切な対処をとりましょう。


 

7. インチュニブを寝る前に飲んでもいい?


 インチュニブは空腹時投与に比べ食後投与の方が、お薬の吸収が30%ほど良いことが分かっています。そのためできれば食後に内服することが望ましいでしょう。


 

8. 急に飲むのをやめてもいい?


 急な中断により高血圧や頻脈が出現することがあります。インチュニブで抑えられていた交感神経の働きが活性化することで、このような症状が現れると考えられています。内服量を変更したいときには、必ず主治医に相談のうえで変更するようにしましょう。


 

9. 効き目はすぐ出る?


 効果が出るまで1-2か月ほどかかると言われています。中枢に作用するお薬なので、効果が出るのに少し時間がかかります。最初は副作用に慣れる期間と考え、お薬を続けることが大切です。


 

10. まとめ


 ADHDは近年話題になることも増え、認知度が上がってきている精神疾患です。治療の主軸は行動療法と薬物療法です。国内で処方可能なADHD治療薬はコンサータストラテラ、インチュニブの3つがあります。どのお薬が自分に合っているか、主治医と相談しながら探していけると良いでしょう。


 

監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)

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