ジプレキサ(一般名:オランザピン)について精神科医が解説します。
1. どんな薬?
先に特徴をまとめると
鎮静作用(眠気)が強い
太りやすい
食欲増進作用がある
糖尿病の方は内服できない
ジプレキサ(一般名:オランザピン)は統合失調症や双極性感情障害の治療薬として処方されることがあります。また、抗がん剤による吐気止めとして処方されることがあります。保険適用外ですがうつ病の増強療法や、睡眠薬代わりに処方されることがあります。
脳内の様々な受容体に働きかけ、ドパミン、セロトニン、ヒスタミン、アドレナリン等の作用を調整します。幻覚や妄想を改善する作用や、気分を安定化する作用があります。血糖値を上昇させる副作用があり、糖尿病の方や過去に糖尿病にかかっていたことのある方は内服できないお薬です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)があります。
2. どんな剤形、用量がある?
2.5mg錠、5mg錠、10mg錠があります。最大用量は1日20mgまでです。ジプレキサに限りザイディス錠という剤形が選べます。ザイディス錠は凍結乾燥製剤であり、一般的な口腔内崩壊錠に比べ口の中で溶ける速度が速くおよそ3秒程度で溶けるといわれています。そのため水無しで内服することができます。
またジプレキサには注射製剤もありますが、興奮が強くて内服に応じられない場合など、限られた場面でしか使用されません。なお注射製剤の場合は糖尿病があっても使用することができます。これは限られた期間内で使うことを前提としているからと考えられます。海外ではオランザピンの持効性注射製剤(オランザピンパモエート)も使用されていますが、日本国内では採用されていません。
3. オランザピンを飲むと廃人になる?
オランザピンは様々な受容体に作用するお薬ですが、どれも可逆的、つまり飲むのをやめれば元に戻ります。そのためオランザピンを飲んだからといって性格が変わるとか、人格がおかしくなるということはありません。長期的に飲むことを前提として設計されているお薬ですので、主治医の診察のもとで内服を続けるのであれば問題ありません。また依存性は無いお薬ですから、「やめたくてもやめられない」という状態にはなりません。
4. ジプレキサは太る?
ジプレキサ(一般名:オランザピン)は食欲増進作用があり体重増加の副作用がみられやすいことも特徴です。そのため特に若年の女性には処方しにくい一面もあります。
5. まとめ
ジプレキサは眠気や肥満などの問題が出やすい一方で、効果の幅が広く、上手に使えば強い味方になってくれるお薬です。なぜ今この薬が必要なのか、いつまで飲む必要があるかなど、主治医に確認しながら使うようにしましょう。
監修:島野桂周(精神科医・精神保健指定医)
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