よこはま北星こころとからだのクリニック、精神科医の島野です。今回はデジレル/レスリン(一般名:トラゾドン)のよくある質問に答えます。

どんな薬?
デジレル/レスリン(一般名:トラゾドン)は抗うつ薬です。うつ病や不眠症の方に処方されることがあります。セロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニン濃度を高めます。これによりうつ病の症状を改善すると考えられています。本来はうつ病のお薬ですが、実際には睡眠薬として使われることも多いお薬です。
どうして睡眠薬として使う?
睡眠薬といえばベンゾジアゼピン系睡眠薬(サイレース、ワイパックス、デパスなど)が有名ですが、健忘や依存性などの副作用が目立つことが難点です。特に高齢の方や、アルコールなどの依存症の方では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は処方しにくいことがあります。デジレル/レスリン(一般名:トラゾドン)であれば依存の心配がなく、副作用の眠気を有効利用することで、比較的安全に睡眠薬として使うことが出来ます。このような理由から、抗うつ薬であるトラゾドンが睡眠薬として処方されることがあります。
トラゾドンは強い薬?
トラゾドンは効果も副作用も他の薬に比べてもマイルドであり、いわゆる「強い薬」(ハイリスク・ハイリターンの薬)とはいえないでしょう。薬である以上、副作用のリスクは常にあります。用法用量をしっかり守って使うことが大切です。
急に飲むのをやめるとどうなる?
急な内服中止による離脱症状の恐れがあります。これはSSRI(セロトニン再取込み阻害薬)を急に中止したときと同様で、不穏、不安、自律神経症状が出現することがあります。デジレル/レスリン(一般名:トラゾドン)を止めたいと思っても、急に中止せず主治医に相談をして、徐々に減量してもらうようにしましょう。
まとめ
トラゾドンは高齢の方や、抑うつ傾向のある不眠症の治療薬として選ばれやすい傾向があります。実際に副作用もマイルドで使いやすい印象があります。定期的な受診のもとで、安全にお薬を使えると良いですね。
監修:島野 桂周(よこはま北星こころとからだのクリニック精神科・精神保健指定医)
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